反日デモ (17.4.26)
はじめに
ニュースで反日デモのことが連日報道されている。
デモの集団が日本料理店や大使館に物を投げ、それを警官隊が眺めている。
中国政府は、「デモは日本の歴史認識にある」と言って、
デモ隊の行為を否定する発言をしない。
「日本は、中国に対する過去の行いについて謝罪し、歴史認識を正せ」という。
日本政府は、デモによる被害について、補償を要求。
こうした報道を見ながら思いつくままにまとめてみました。
大きな勘違い
日本への不満がある、というのは具体的になんなのか。
デモ隊が反日を叫ぶのは勝手である。
しかし、デモ隊が、日本料理店に投石をしたり、建物を壊すのは間違いである。
これには歴史認識うんぬん、という理由は通らない。
暴力行為は正当化されない。デモ行為と暴力行為は別ものである。
中国政府は、こんな簡単なことはわかるはず。
反日を国民が叫ぶのは構わないが、暴力行為は取り締まる、と何故言えないのか。
その料理店の経営者や店員が、過去に中国に対して何をしたのか。
店の関係者が、教科書に「尖閣諸島が日本の領土だ」と書いた訳ではない。
日本人だから暴力の対象にする、というのは、愚かな行為である。
中国に駐在する日本人は多数いる。
観光旅行で訪れる人も沢山いる。
日中友好、開かれた中国のイメージは、今回のことで変わってしまった。
暴力行為と思想を混同して、当たり前のことが言えないのは残念でならない。
打ち合わせ
デモ隊の一部がエスカレートしたというけれど、
デモに参加している殆どの人は「暴力行為は愚行だ」とわかっているはず。
では、何故ああした行動になったのか。
デモ隊を先導している人と、政府や公安関係との間に、打ち合わせがあったという。
そうした見方は当たっていると思われる。
プラカードや横断幕の出来具合をみると、あれはきちんと用意されたものである。
具体的な抗議内容がなく、単に、反日をアピールする。
その目的は?
怒れる中国をアピールして、日本が中国に対してなめた態度をとったらいけない、
とでも言いたいのか。
尖閣諸島は中国の領土だと認めろ、ということなのか。
結果として、
「思想統制されている中国では、ああしたデモを個人は否定することができない」
と、世界に対して表明しているようなものである。
こうした現実は悲し過ぎる。
中国国民は実際には違うはず。
日本国内での愚行
反日デモの報復として、
日本の国内の中国大使館に投石をしたり、中国系の銀行に火炎瓶を投げつける。
こうした愚行に対する、中国大使館の発言はまともである。
「これは犯罪行為だから犯人を検挙して、賠償しろ」という。
同じ行為が、中国で行われている。
中国にある日本料理店や大使館に対して、自国民が犯罪行為を行っているのだから、
この中国大使館員は、普通なら矛盾を感じる筈。
もし、日本国内で、反中国デモが起こって、中国料理店や大使館が攻撃されたら、
日本の警察は黙って見守りはしない。
日本国民は、そうした行為を蔑視するし、犯罪者をかばいはしない。
海底油田
南シナ海で海底油田の調査が中国によって始まった。
その近辺の領土の境目が、中国と日本ではずれているらしい。
人間が引いた境目の線にまたがって、油田は広がっているという。
資源に乏しく、金のある日本と、資源は豊富で金がない中国。
中国の行動をみて、日本政府は油田調査を民間会社に要請したという。
中国にしてみれば、油田の調査が進めば、
資源をごっそり日本に盗られる可能性が大きい。
そこで、反日のデモで、歴史認識を大きく取りあげる。
歴史認識というのは、日本が言い訳できないウイークポイント。
過去に侵略した負い目が日本にはある。
賠償問題はとっくに終わっている話だが、領土問題ははっきりしていない。
日本は過去に中国にひどいことをした。今も同じだ。
そういう意味で、デモ隊が反日を叫んでいる、ということなのか?
油田のある場所は中国のものだ、と言いたい?
台湾
尖閣諸島の他に、台湾問題も反日感情にからんでいるという。
台湾は中国の一部であり、独立を認めない、と中国政府はいう。
台湾は中国なのかどうなのか。
台湾人からしてみると、中国に侵略されたそうである。
蒋介石は大陸人。中国の宝物を沢山もってきて、それが台湾故宮博物館となった。
しかし、大陸人は侵略したので、台湾人が尊敬する人は孫文だ、という。
日本と台湾は貿易を行っている。
観光旅行で飛行機の直行便もある。行き来は自由。
中国にしてみると、
台湾が自由主義、資本主義の日本やアメリカなどと親しくなるのは困る。
独立する、となると、中国の領土が削られる。
もちろん、東シナ海の領海も関係してくる。
靖国神社参拝
閣僚が靖国神社に参拝をすると、
何故中国やアジア各国の反応が取り上げられるのか。
軍国主義を否定すると、靖国神社に参拝してはいけないのか。
過去の過ちは過去のもの。
靖国神社に祭られている故人は、例え間違った方向であったとしても、
日本のために死んだ人である。
参拝をするかしないかは個人の考え方で、それは宗教に対する姿勢でもある。
閣僚が参拝してはいけない、という日本の法律があれば話ははやい。
しかし、閣僚参拝禁止の法律は作られない。
それは日本の考え方である。
閣僚がどういう宗教を受け入れるかは、日本の中の問題である。
過去に侵略された側が、日本国内のそうした宗教観に干渉するのはおかしい。
閣僚が参拝することで、
「侵略された各国の感情をさかなでする」というのは、主観の問題である。
受け取り方は勝手。
生産コスト
以前から言われていることだが、
日本国内で物を作ると人件費が高いので、できあがった商品の値段が高くなる。
安い値段で作るには、中国や東南アジアに工場を進出させ、
そちらで生産して日本に輸入する。
デジカメを例にすると、
原料を中国に輸出し、最新モデルの生産をして、できた部品を日本に輸入。
国内では組み立てるだけ。
モデルチェンジが激しい業界なので、沢山作りすぎて在庫があまるのは困る。
生産ラインを簡略化して、最低限の量産をするシステムができているという。
安く、早く、売れるだけ売る。
その為には、雇用を求め、人件費が安い国と、
高い技術を持つ真面目な国民が必要とされる。
日本の豊かさは、そうした外国のおかげ。
人件費が安い、というのは、労働環境も関係している。
労働基本法で、週に何時間以上の労働は違法だ、と日本国内では規制されている。
外国の労働者の健康管理はその国の基準。
自国の豊かさのための労働をする、というのではなく、
外国の豊かさのために労働している。
もちろん、外貨は獲得しているが、比較すれば安く使われている。
日本は、中国や東南アジアの国の労働力を搾取している、とも言える。
また、環境問題もからんでくる。
日本国内で工場生産する場合、環境破壊は法律で厳しく規制されている。
事故が起こると補償が起こる。
人件費が安く、雇用を求めている国では、環境問題はあまり厳しくない。
工場廃液が正しく管理されているかは、その国の基準。
つまり、日本は自国の豊かさのために、外国を犠牲にしている、とも言える。
中国の文化
1997年、北京と西安に観光旅行に行った。
中国は魅力たっぷり。私は中国が大好きである。
日本の文化は、中国や朝鮮半島からの輸入品。
日本独自の文化はないのではないか。
中国で三国志の時代、日本は縄文時代だったという。
中国は、多民族国家であり、あらゆるものを取り入れて、ごちゃまぜになりながら、
大国として成立。
多くのものを取り入れる姿勢が、大国となってから変わってしまった。
中国が近代の戦争で負けたのは、
大国の威厳に頼り、現実を認めなかったからだ、という。
それはともかく、
中国の文化に触れるとほっとする。
漢詩や水墨画、気功や太極拳。鍼、灸、マッサージ。漢方薬。
癒されたり、お世話になっている。
中国語を覚えようと、テキストを買って、NHKの中国語の番組を見たり、
車の中で練習用のテープを聞いて覚えたこともある。
横浜の中華街も大好きである。
おわりに
中国が大好きな私は、ニュースを見るたびに残念でならない。
国対国の話となると、簡単な理屈も通らなくなるのか。
反日デモの背景を取りあげた番組があり、
掘り下げればもっと別の問題がありそうである。
中途半端な内容ではあるけれど、
「残念だ」ということを言いたくてこうなりました。
私は特定の政治思想・宗教を持っていません。
ただ、単純に見たまま、感じたままをまとめました。