高音質配信全般について
チャットと高音質配信の違い (20.7.17)(最終更新:24.9.18)
はじめに
yahooチャットのユーザー部屋のタイトルで「高音質」という表示を見かけます。
これは、yahooチャットのボイス機能の音質に比較して、音質が良い、
という意味だと思います。(本当の所はわかりません)
良い音で聞かせたい、ということで高音質配信をする、と一般的には言われていますが、
チャットと配信では音を聞かせる形態が違います。
その辺の所を解説してみます。
※掲載内容は24.年9月時点のものです。今後ページの掲載内容と実際が異なる可能性があります。
内容は高音質配信やその他の解説ページの中で扱った内容と重複しているものも含まれています。
ボイスチャット
yahooのボイスチャットは、元々が 会話=音声 をやりとりするものなので、
扱う音はモノラル(音源が一つ)です。
押しっぱなしツールを使って音楽を流した場合、
流している人のパソコン(PC)からは音楽がステレオ(音源が2つ)で出ていても、
聞いている人のPCからはモノラル(音源が1つ)の音楽が聞こえます。2つのスピーカーから同じ音が出ている状態。
また、音の信号の流れは、yahooのチャットサーバーを経由して受信者側に届きます。
チャットサーバーでは、
音声を伝達できる程度の音質で扱うように設定されているので、音楽を聞くにはあまり良い音ではありません。
それから、音の流れが途切れやすくなっています。
高音質配信
俗に高音質と言われる
jetcast(ジェットキャスト)やエンコーダ、shoutcast(ショートキャスト)などの配信ソフトは、音源をステレオで扱います。
2つのスピーカーから別々の音が出ている状態。
中継サーバーがない直接配信なので、ステレオ録音された音楽を流していれば、
聞く人のパソコンでもステレオで聞くことができます。
音楽と一緒にマイクでしゃべると、マイクからの音はモノラルなので、
音楽はステレオで流れ(スピーカ1と2では別々の音)、
おしゃべりはモノラルで聞こえる(スピーカー1と2と両方から同じ音)。
ボイスチャットと高音質の違い
音の信号の流れ方が違います。
ボイスチャットはチャットサーバー経由で、モノラルの音を届けます。
高音質は配信パソコンから受信パソコンまで、直接ステレオの音を届けます。
高音質で配信している音楽を、同時にチャット部屋に流すこともできます。
この場合、
高音質を受信している人にはステレオの音ですが、チャット部屋で聞いている人にはモノラルの音で聞こえます。
ステレオとモノラルの違い ノートパソコンでもデスクトップパソコンでも、スピーカーが2つなら 音を聞いて違いがわかりますが、ヘッドホンで聞くとよりはっきりします。 ステレオ ヘッドホンで音楽を聞くと、ヘッドホンの右と左では別の音が出ています。 両方の音を同時に聞くと、例えば右の耳からギターの音、左の耳からピアノの音、 頭の真中からボーカルの歌が聞こえるなど、それぞれの音が単独で存在します。 このように、楽器や音の種類によって、聞こえる位置が違っていて、 全体として奥行きのある音楽として聞こえます。 昔のFMラジオ放送やレコード、今でいうならCD等と同じ。 モノラル ヘッドホンの右と左、両方から同じ音が出ています。 ギターやピアノ、ボーカルの歌などは、一つのまとまりとなっていて、 左右の音を同時に聞くと、頭の真中で聞こえます。 昔のAmラジオ放送と同じ。 |
高音質配信
yahooチャットに較べて、
雑音が少なく、音質がよく、音の途切れも少なく聞かせることができます。
基本設定は多少煩雑で、初心者には難しい面もあります。
操作面ではチャットの方が簡単です。
yahooのボイスチャットと高音質配信の違い
音質 | 音の種類 | 雑音・途切れ | 安全性 | 操作・準備 | |
ボイスチャット | 低 | モノラル | あり | 高 | 簡単で手軽 |
高音質配信 | 高 | ステレオ ねとらじはモノラル推奨 |
少ない | 低 | 煩雑 |
スカイプやMSNメッセンジャー、スティッカムなどでも音声のやりとりができます。
参加人数は、スカイプは最高で5人まで、MSNメッセンジャーは1対1。
音質はyahooよりは良いですが、音の種類はモノラルです。
高音質配信と使用回線
音を流す=データを送る⇒配信
音を聞く=データを受け取る⇒受信
ということなので、データをやりとりする回線スピードが、音の品質や受信する人数に影響します。
音が良ければデータ量が多くなり、データの通り道(回線)が一定なので、受信できる人数が少なくなります。
高音質で配信する場合、
ステレオで聞かせることもできますが扱うデータ量が多くなります。
従って、回線スピードがADSL以上でないと適しません。
回線スピードがISDNなどの場合、
ステレオ配信には無理があるので、音質を下げてモノラル配信にします。
音はモノラルではあっても雑音や途切れが少なく配信できます。
高音質配信の種類
配信のやり方には様々なものがあります。
モノラル配信、ステレオ配信、使用するソフトもそれぞれです。
以下の3つは音楽の流し方解説ページの中で紹介・解説しています。
配信の種類 |
配信できる音 |
利用回線 |
使用PC |
ルータ使用の場合 の設定変更 |
サーバー 経由 |
特徴 |
再生ソフト |
難度 |
jetcast | ステレオ配信 | ADSL以上 | 98は△、 Me、XP、Vista、7は〇 |
必要あり | 無 | 配信ソフトと再生ソフトが 一つになっている PC対PCで配信 |
jetcast | 初心者向き |
エンコーダ | ステレオ配信 | ADSL以上 | 2000、XP、Vista、7 | 必要あり | 無 | ステレオミキサー機能が必要。 エンコーダは配信ソフトのみ。 PC対PCで配信。 初期設定では 受信人数が5人まで。 |
PCにある ソフトが使える (wmp※、winampなど) |
中級者向き |
shoutcast | ステレオ配信 | ADSL以 | 2000、XP、Vista、7 | 必要あり | 無 | 配信ソフトはshoutcast。 winampと連動する。 PC対PCで配信。 |
winamp | 上級者向き |
※wmp=ウインドウズメディアプレイヤー
この他にも、shoutcastとeddcastを使った方法など色々な配信方法があります。
また、解説はしていませんが「ねとらじ」という配信方法もあります。
配信の種類 |
配信できる音 |
利用回線 |
使用PC |
ルータ使用の場合 の設定変更 |
サーバー 経由 |
特徴 |
再生ソフト |
ねとらじ | モノラル配信推奨 ステレオも可 |
ISDN以上 | 98、Me、XP どれでも可 Vista、7は未確認 |
必要なし | 有 | 他の方法に比べて簡単 ねとらじサーバー経由で配信 |
winamp |
音の質
1)音楽再生ソフト
PCで扱う音楽ファイルは、
データ量を少なくして、扱いやすくしたものとして保存されます。
元の音の再現に最低限必要なデータだけになるので、
元の音に比べると、リアル感や奥行き感という点で劣ります。
この音質の劣化の程度は音楽を再生するプレイヤーによって様々に違います。
jetcastによる配信では、
jetcast自体が配信・再生の両方を備えたソフトなので、再生プレイヤーは選べません。
エンコーダ配信の場合、再生プレイヤーはどれでも使えるので、
音質の良いプレイヤーを選ぶことができます。
shoutcast配信では、再生プレイヤーはwinampです。
音の扱いについては、ウインドウズメディアプレイヤー(wmp)よりは
winampやi-tune、Realplayer、jetaudioなどの方が音が良い、と言われます。
しかし、配信している人が聞いている音と、
受信している人が聞いている音は微妙に違います。
windowsPCにはウインドウズメディアプレイヤー(wmp)が標準装備されています。
送信者(配信者)がwinampを使って流していても、受信者がwmpで聞いている場合、
音質は低下します。
例えばこんな関係です。
再生ソフト |
|||||||
送信者 | winamp | winamp | mp | mp | |||
受信者 | winamp | mp | winamp | mp | |||
音質 | 高 | > | > | 低 |
送信者も受信者もwinampを使用している場合が一番音質が良い、とすると、
それより右に行く程劣ります。
音楽再生ソフトの欠点は、
音質が良い再生ソフト(プレイヤー)はPCの動作負担が大きいので、
他のアプリケーションを同時に使うとPCの動作がより重く不安定になります。
すると音飛びなどが生じます。
2)使用回線
音質は送信者、受信者の使用回線も影響します。
ADSLよりは光回線の方が安定して多くのデータをやりとりできるので音質も安定します。
3)パソコン環境
送信者・受信者とも、パソコン(PC)の音はサウンドカードが影響します。
送信者が良い音で送信したとしても、そのデータを再生する受信者側のPCが、
音を忠実に再現できない場合もあります。
4)音楽ファイルのデータ量
jetcastやエンコーダ配信の場合、配信設定の中で、
固定ビットレートを64kbps、128kbps・・・と色々設定変更できます。
kbps(キロバイト・パー・セコンド)とは、1秒間に何キロバイトのデータか、という意味で、
64kbpsは64kbのデータの音を1秒間に配信します、ということです。
この数字を大きくするとデータ量の多い音を配信することになります。
データ量が多い=配信PCの負担増=受信PCの負担増、ということです。
64kbpsの音と128kbpsの音、どちらの音質が良いか、といったら128kbpsですが、
128kbpsと256kbpsを較べたら256kbpsの方が良いか、というとそうでもありません。
PCに取り込んで音楽ファイルにする時、通常は128kbpsになります。
それを256kbpsの音として配信しても、実際の音は128kbpsと同じです。
配信する時に256kbpsとしてPCの外に出すので、PCの負担は大きく、
音は同じという結果になるので意味がありません。
通常は64kbpsで充分です。
64kbpsというこの数値は、まあまあの音質で、配信・受信双方の負担が最小で配信できます。
結論として、
配信する音質を追求したい、という人もいますが、
受信者の環境によっては期待した音で聞かせられないし、
配信データ量を大きくしても音質アップにつながるとは限らない、
ということになります。
従って、音質の追求はこだわりというか、好みや自己満足の問題です。
配信
yahooのボイスチャットは沢山の人に自分の声や音楽を聞かせることができます。
ただし、そのチャット部屋に参加している人が対象です。
yahooのサーバーメンテナンスや障害などで、チャット部屋に参加できない場合は、
音を聞かせたり、音を聞くことができません。
高音質配信では、
jetcast、エンコーダ、shoutcastなどは、PC対PCで配信や受信ができるので
中継サーバーの影響を受けません。
※ねとらじはサーバー経由です。
自分が配信する
yahooチャットでは、
チャットにログインすれば自分の声や音楽を相手に聞かせることができます。
自分で用意するものはヘッドホンマイクだけです。
yahoo側では音声を送信(配信)・受信するのに必要なものを用意しています。
チャット利用者はそれらを利用しています。
高音質配信では、必要なものを自分で用意します。
配信するためのソフト(無料)を手に入れ、必要な設定をして配信します。
高音質配信の利用の仕方
一般的なのは、チャットのユーザー部屋を公開して、
入室して来た人に配信のURLを教えて聞いてもらい、
チャット部屋にも配信している音を流します。
チャットのやりとりはログ(文字)で行ないます。
ここで注意する点は参加者に聞こえる音の時間的な問題です。
音の時間差
チャット部屋で音楽を流す場合、流している人のPCから出ている音と、
部屋の参加者がPCで聞いている音では、極わずかですが時間差があります。
流している人のPCからの音はyahooのチャットサーバーを経由して、
参加者のPCに届くまでに時間がかかるからです。
チャットで扱う音質は最低限の音のレベルなので、この時間差は極わずかですが、
高音質配信はデータ量が多いので、受信者に届くまで数秒かかります。
高音質配信をしながらチャット部屋にも音楽を流す場合、
チャット部屋の参加者が聞いている音から数秒遅れて配信の音が届くので、
参加者がどちらを聞いているか、で会話の内容にずれが生じます。
配信内容
一番問題になるのは配信内容です。言い換えれば番組構成。
音楽を垂れ流しにする。おしゃべりと混ぜる。色々な形があります。
それは配信者のお好みですが、できれば沢山の人に聞いてもらって、
また聞きたい、と思って欲しい、というのが送り手です。
配信の主旨というか目的をどこに置くか。漠然として難しいかもしれませんが、
例えば仕事で忙しい一日や家事が一段落した夜のある時間に、
ホッと一息つける音楽を聞いてもらいたい、とかです。
送り手側の意向があって、それに賛同する人が常連になります。
yahooのユーザー部屋には色々な部屋があって、
それぞれに部屋主の意向というか色があります。
どんな雰囲気が自分に合っているか、を体験してみて、
それと同じようなものを配信してみる、というのが近道かも知れません。
配信設定の壁
自宅内のPCが1台だけで、ルーターを使用していない場合は特に問題はありません。
配信ソフトの設定など、決まった作業をすれば配信できます。
問題は、自宅内にPCが複数あって、ルーターを使用している場合、
ルーターの使用ポート(主に9000ポート)を開放して、配信するPCのローカルIPアドレスと結びつける設定が必要になります。
PCは1台でもIP電話を利用している場合はルーターが使われていますから、同様に設定変更が必要です。
チャットで音楽を流す場合には関係のない話ですが、
高音質配信の場合は、
1)ルーターのポート開放
2)配信PCのローカルIPアドレスの固定
この2つがどうしても必要で、初心者にはこの作業が壁になってなかなか先に進めなくなります。
PC環境は利用者によって様々で、回線の種類や使用ルーターの種類も色々です。
一番確実で簡単なのは、プロバイダーやルーターのサポートに電話で相談。
電話で指示してもらって、その場でこの2つの設定変更の操作を完了する。
これさえ乗り越えることができれば後は決まり通りの操作です。
この2つの設定変更の必要性などの詳細は各配信方法の解説ページに記載してあります。
おわりに
私はISDN回線を利用していた期間が長かったので、配信ができるようになったのは
2005年の秋に光回線にしてからです。
光回線になって自分も配信できるようになったら、
番組内容を掲示板で公開して、ラジオ放送と同じようにやってみたい、
と思っていました。が、成り行きで解説部屋をするようになり、そちらを中心にやっています。
自分もjetやエンコーダ、shoutcastで配信したい、という人に解説ページを見てもらっていますが、
解説ページだけでできる人、解説ページを見たけれどできない、と相談されて
あれこれ検討してできるようになった人、と色々なケースがあります。
高音質ってどんなもんなの?と実際にやってみると、
案外あっけなくできるものです。
配信ができるかできないか、は回線状況など、物理的なものの影響もありますから
すべての場合でできるとは限りませんが、
「自分も配信してみたい」という目標を持てるかどうか、で実現が左右されます。
夏休みなどの長期の休みや連休などの休みの間に、
少しずつ作業を続けてできた、という人がいます。
土日の休みだけを利用して、何週間かかけてできた、という人もいます。
配信のための設定作業は煩雑ですが、
ひとつひとつクリアーする経過がわくわくさせます。
その結果「配信できた!」という満足感がありますが、実はそれは出発点で、
「何を配信するか」という課題が発生します。
自分なりのペースで世界を広げて頂けたら幸いです。
H19.3.4 しばづけ