初心者のための
パソコンの基本 ウイルス対策 (23.7.30)(最終更新:23.8.3)
対象OS:すべて
ファイルのやりとりの基本 知り合いとファイルのやりとりをすることがあります。 メッセンジャーのファイル送信で受け取る、メールで受け取る、 USBメモリで受け取る、インターネットのページでダウンロードする など、ファイルを受け取る機会は色々ありますが、 誰から受け取る場合でも、 ファイルを受け取ったら右クリックしてウイルスソフトでスキャンを実施。 異常がないことを確認してからそのファイルを開く。 これは決まりごととして行います。 |
何故これが必要なのか、を本文の中で説明します。
本文を読むのが面倒な人は、この決まりごとだけを実行してください。
はじめに
パソコンを使っているとコンピュータウイルスによる感染の危険がついてまわります。
ウイルス対策ソフトをパソコンに入れてあれば安全だ、と思うのは大きな勘違いです。
ここではウイルスとは何か、ウイルス対策ソフトとは何か、ウイルスの感染と被害、など
ウイルス対策に関する基本的なことを解説します。すべてを覚える必要はなく、自分にとって必要なものだけを取り入れてください。
コンピュータウイルスとは
コンピュータウイルス(以下:ウイルスと表示)とは
コンピュータに侵入して、データの破壊などを行う悪意のあるプログラムのことをいいます。
電子メールやインターネットのページ閲覧を通じて感染拡大の恐れがあり、時々ニュースでも取りあげられています。
ウイルスの基本的な特徴として、自己伝染機能、潜伏機能、発病機能などがあります。
自己伝染機能
自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし、
またはシステム機能を利用し自ら他のシステムにコピーすることにより、他のシステムに伝染する機能。
パソコンを使っている本人が知らないうちにウイルスは他者のパソコンに感染を広げます。
潜伏機能
発病するための特定時刻、一定時間、処理回数などの条件を記憶させて、条件が満たされるまで症状を出さない機能。
いつ、どこで、何をして感染したのか分からなくなります。
発病機能
プログラムやデータなどのファイルの破壊を行ったり、コンピュータに異常な動作をさせるなどの機能。
パソコンの動作がおかしくなって気がつきます。その時にはもう遅い、という場合もあります。
感染経路
ホームページの閲覧、電子メールの送受信、周辺機器による感染、ファイル共有ソフト、
メッセンジャーのファイル送信、ネットワークの共有による感染、などがあります。
ホームページの閲覧
悪意のあるウイルスが仕込まれているホームページを閲覧しただけで感染するものや、
プログラムなどをダウンロードすることにより感染するものなどがあります。
ホームページ(インターネット上のページ)を見る、ということは、そのページのデータを自分のパソコンに取り込む、ということです。
その取り込むデータにウイルスが仕込まれていれば、ウイルスも取り込むことになります。
また、プログラムをダウンロードすることには警戒しますが、そのページの写真画像や動画を保存する場合にはあまり警戒されません。
例えばアダルトサイトに掲載されている写真を右クリックして、対象をファイルに保存、として、パソコンに保存する場合、
その写真ファイルにウイルスが仕込まれている可能性は否定できません。
ウイルスをばらまく意図を持った人は、人が沢山集まる場所にウイルスを仕掛けます。
アダルトサイトや違法なダウンロードサイトなどには近づかない方が無難です。
※ホームページを見る時には、不要なものはダウンロードしない。不要なものはページから保存しない。
ダウンロードしたりファイルを保存したら、ファイルを右クリックしてウイルス対策ソフトでチェック。安全を確認してから開きます。
アダルトサイト、違法なダウンロードサイトなど、人が集まるサイトには近づかない。
電子メールの送受信
受信したメールに添付されている資料を開くことによって感染します。
感染したコンピュータはユーザ(利用者)の意思とは関係なく、更にウイルスを広める可能性があります。
例えば、メールソフトのアドレス帳にある宛先のデータを使って、ウイルスを仕込んだ資料添付のメールを作り(自己増殖)、
ユーザがメールの送受信をした時に一緒に送信されます。
これはユーザが知らない内に実行されるので本人には分かりません。
「あなたから意味不明のメールがきたけど」と相手に言われて感染に気付く場合があります。
※知らない人からのメール、件名が意味不明なメールは開かずに削除が基本です。必要な連絡ならまた連絡をしてきます。
知り合いからの資料が添付されたメールは、開く前にウイルスチェックをするのが基本です。
周辺機器による感染
USBメモリ、CD、DVDなど、メディア(入れ物)でデータのやりとりを行うことにより感染します。
最近では、家庭でウイルスに感染したデータを会社などの他の場所に移動し、その結果感染を拡大させてしまうケースが多くあります。
USBメモリは最近利用が拡大しています。
例えば、会社のパソコンにあるファイルをUSBメモリに入れて持ち帰ったら、
自宅のパソコンでUSBメモリをウイルススキャンして、その中のファイルが安全であることを確認してからファイルを開く、
のが基本です。
※USBメモリ、CD、DVDなどの入れ物に入ったファイルを開く時、
そのファイルが自分以外のパソコンを経由している場合には、
その入れ物に入っているファイルを全部ウイルスチェックして、 安全を確認してから開きます。
ファイル共有ソフト
Winny(ウイニー)やカボスなど色々なものがあります。
ファイル共有ソフトとは、利用者各自がパソコンにファイル共有ソフトを入れておきます。
インターネットを介して、自分の必要なファイルを誰が持っているかを検索し、
その相手のパソコンからファイルのデータをコピーして自分のパソコンに取り込みます。
このファイル共有ソフトを利用することでウイルス感染を拡大させることがあります。
例:このファイル共有ソフトを利用していた人のパソコンがウイルス感染しました。
個人データをインターネット上に漏洩(ろうえい=もらす)させるウイルスでしたが、本人には分かりません。
そのパソコンで仕事のデータも扱っていたので、仕事上の個人データがインターネット上にばらまかれたケースがありました。
※ファイル共有ソフトは使わない、というのが基本です。これは家族を含めてです。
メッセンジャーのファイル送信
ファイルを移動することで感染を拡大する、という点では、チャットのファイル送信もこれに含まれます。
ファイルには文書ファイル、写真などの画像ファイル、動画ファイル、音楽ファイルなど色々なものがあります。
これらをやりとりする時に、そのファイルがウイルスに感染していれば、ウイルスは移動します。
相手のパソコンがウイルス感染していた場合、受け取った写真データがウイルスを含んでいる可能性があります。
例えばチャットで知り合った人とファイルをやりとりする場合があります。
知り合ったばかりで相手がどういう人なのか良く分からない場合は、「ファイルを送る」といわれても断るのが無難です。
しかし、親しい相手であっても、相手のパソコンがウイルス感染をしていないとは言い切れません。
通常、パソコンの動作に異常がなければ自分のパソコンがウイルス感染をしているとは思いません。
受け取る方も相手がウイルスを送ってくるとは思いません。
そこでファイルを受け取る時には、毎回ウイルスチェックをする必要があります。
※知らない人、良く知らない人からのファイルは受け取らない。
知り合いからファイルを受け取ったらウイルスチェックをして、安全を確認してから開きます。
ネットワークの共有による感染
これは主に企業内のパソコンの場合です。
感染したコンピュータのネットワーク共有ファイルをたどっていき、感染を広げるタイプのものもあります。
サーバにも侵入してしまう可能性があります。
脅威となるプログラム
ワームとトロイの木馬に分けられます。
ワーム
ファイルに感染するのではなく、自己増殖するタイプの不正プログラムです。
ネットワークに接続しているコンピュータに対して自己増殖を行います。
トロイの木馬
正体を偽り、有用なプログラムとしてコンピュータに侵入し、それを実行することで不正な処理を行うプログラムのことをいいます。
主にパソコンのデータを盗み見たり、不正に操作を行い、データの消去などを行ったりします。自己増殖は行いません。
ウイルス対策ソフト
有料、無料それぞれのものがあります。
有料のもの
ノートン、ウイルスバスター、マカフィーなどがあります。
有料のものは安全性が高い反面、パソコン動作が重くなる(遅くなる)傾向があります。有料ソフトが全て重くなる訳ではありません。
ウイルスソフトをパソコンに入れた結果動作が重くなる場合は、安全性をとるか、利便性をとるかのどちらかになります。
また、NTTなどのプロバイダーが回線自体にウイルスソフトを提供するサービスを提供している場合があります。
この場合は、個々のパソコンにウイルスソフトを入れる必要はなく、逆に入れていると動作の障害になる場合があります。
詳細はプロバイダーに確認する必要があります。
無料のもの
23年7月現在、マイクロソフトセキュリティエッセンシャルがあります。
無料のソフトはウイルスに対する安全性は低くなりますが、最低限の防御の役目をします。
ウイルスソフトの働き
新種のウイルスは世界中で毎日発見されています。一ヶ月に30個発見されているという報告もあります。
脅威となるウイルスが発見されると、ウイルスソフトはそのデータを蓄積しておいて、
パソコンにそのウイルスが侵入しようとする時に感知し、駆除や隔離などの処理をします。
通常、パソコンの電源を入れて起動させるとウイルスソフトが異常の有無を確認してから起動が終了します。
そのパソコンがインターネットに接続している状態であれば、
ウイルスソフトのメーカーサイト(ページ)からウイルスに関する追加情報を自動的にダウンロードし、
新しいウイルスを検知できる状態に変更します。(→ウイルス定義の更新)
ウイルスソフトはいつも最新の情報を持っていないと効果がありません。
ウイスル発見からウイルス定義の更新まで数日かかる場合、その間は感染する期間だということがいえます。
つまりウイルスソフトを入れていれば感染しない、というのは間違いです。
プレインストールのウイルスソフト
パソコンを購入した時、メーカー製のパソコンには最初からウイルスソフトが入っていることが多いです。
最初から入っているソフトのことをプレインストールソフトといいます。
このプレインストールされたウイルスソフトは通常は30日などの期限付きで、その後は有料使用の手続きをして使用します。
そうしないとウイルスソフトは最新の情報をもっていない状態のままで稼働するので、
新しいウイルスを検知できません。
つまりパソコンはソフトのために力を使っているのに、ウイルスの侵入は防げない状態だ、ということです。
有料使用の手続きをしない場合は、他のウイルス対策ソフトを入れる必要があります。
この場合、有料ソフト、無料ソフトのどちらかを選択します。
ウイルスソフトを新たにインストールする場合、今までのウイルスソフトはアンインストールする必要があります。
ウイルスソフトを複数同居させるのは動作を不安定にさせ、防御能力を低下させます。
ウイルスソフトの役割
監視
通常は常時監視している状態にします。
ウイルスに感染する機会は、ページの閲覧、メールの送受信、ファイルのダウンロードなどです。
インターネットのページを閲覧したり(開いたり)、メールを送ったり受け取ったり、ファイルをダウンロードした時に、
ウイルスソフトは自動的に稼働して、そのファイルに異常がないかを走査(スキャン)します。
そして、異常がなければ次の動作に移り、異常があれば画面に表示して次の動作(駆除、隔離など)をユーザに確認します。
ウイルスソフトによって、監視内容は様々です。使用しているウイルスソフトがどういう監視をしているか分からない場合は、
メールの添付ファイルを開くとき、インターネットのページからファイルをダウンロードしたとき、誰かからファイルを受け取ったとき
には手動でウイルスチェックをする方が無難です。(そのファイルを右クリックしてウイルススキャンを実施)
インターネットのページを閲覧する時には殆どのウイルスソフトが自動的にチェックします。
しかし、アダルトサイトなど、危険が予想されるページは開かないのが無難です。
ウイルススキャンの種類
ウイルスソフトによって表現は違いますが、一般的に、クイックスキャン、フル(完全)スキャン、カスタム(特定)スキャンなどがあります。
クイックスキャン
特に危険にさらされる部分だけに限定して、とりあえず異常がないかをみます。
フル(完全)スキャン
パソコン内のプログラムやソフト全体を対象に異常がないかをみます。
カスタム(特定)スキャン
特定の分野、例えばドライブCだけ、メールソフトだけ、などをユーザが選定して異常がないかをみます。
スキャンの動作
起動時スキャン
パソコンの電源を入れて起動する時に異常がないかを自動的に確認します。これは起動時に関係している範囲に限定されます。
スケジュールスキャン
ウイルスソフトは、いつスキャンをするかがあらかじめ設定されています。
毎回パソコン起動時か、毎回終了時か、そのウイルスソフトによって違います。
ウイルススキャンの機会は多ければ多いほど安全性は高まりますが、
パソコンを起動するたびにスキャン動作をしていると起動終了までに時間がかかります。
またパソコンを利用している時にスキャン動作をするとパソコン動作が重くなって不都合です。
そこで、いつスキャン動作をするのかをユーザが自分で設定することができます。
できるだけパソコンを使っていない時間帯に完全スキャンをする場合、
例えば、
日曜日の夜は夜中までパソコンを使うことがない人の場合は、
毎週月曜日2:00に完全スキャンを設定しておき、毎週日曜日の夜寝る時にパソコンの電源を入れたまま就寝。
月曜日の朝パソコンの電源を切る。
できれば毎日完全スキャンができればいいですが、そうはいかない場合は、
一週間に一度、日時を設定して完全スキャンをすることをお勧めします。
まとめ
以上の解説を簡単にまとめると、
パソコンを使用していれば、インターネットに接続している、していない、に関わらず、ウイルス感染の危険性がある。
ウイルスはインターネットのページを見たり、メールを開いたり、ファイルが移動されて感染する。
パソコンの動作に異常がなくても、自分や相手のパソコンがウイルスに感染していない、とは言い切れない。
ウイルスソフトを使っていれば安全だ、とは言い切れない。
普段のパソコンの取り扱いの注意点は
ホームページの閲覧 ※ホームページを見る時には、不要なものはダウンロードしない。不要なものはページから保存しない。 ダウンロードしたりファイルを保存したら、ファイルを右クリックしてウイルス対策ソフトでチェック。安全を確認してから開きます。 アダルトサイト、違法なダウンロードサイトなど、人が集まるサイトには近づかない。 電子メールの送受信 ※知らない人からのメール、件名が意味不明なメールは開かずに削除が基本です。必要な連絡ならまた連絡をしてきます。 知り合いからの資料が添付されたメールは、開く前にウイルスチェックをするのが基本です。 周辺機器による感染 ※USBメモリ、CD、DVDなどの入れ物に入ったファイルを開く時、 そのファイルが自分以外のパソコンを経由している場合には、 その入れ物に入っているファイルを全部ウイルスチェックして、 安全を確認してから開きます。 ファイル共有ソフト ※ファイル共有ソフトは使わない、というのが基本です。これは家族を含めてです。 メッセンジャーのファイル送信 ※知らない人、良く知らない人からのファイルは受け取らない。 知り合いからファイルを受け取ったらウイルスチェックをして、安全を確認してから開きます。 |
ということになります。
そこでこのページの最初に掲載した「ファイルのやりとりの基本」をあらためて見てください。
ファイルのやりとりの基本
誰から受け取る場合でも、 ファイルを受け取ったら右クリックしてウイルスソフトでスキャンを実施。 異常がないことを確認してからそのファイルを開く。 これは決まりごととして行います。 |
これが必要な理由が分かっていただけると思います。
おわりに
先日の話ですが、
パソコン経験が6年以上になる知り合いが、
他人からファイルを受け取ってウイルスチェックをしたことがない、ということを知りました。
なんでそんな基本的なことをしていないのか、というと
「知ってる人だし、ウイルスを送ってこないでしょ」と答えます。
その人のパソコンが感染していないとは言い切れないからチェックは基本です、というと
「知らなかった」と言います。
最近は社会の中にパソコンが浸透していて、インターネットを利用した情報交換が一般的になり、様々な場面でパソコンが使われています。
今は小学生の時から授業でパソコンの基本操作を教えられ、ウイルスの危険性についても学びます。
しかし、そうした教育の機会がなかった人がパソコン利用者の中には沢山います。
会社や職場で必要最低限の操作方法を教えられてパソコンを扱い、
家庭でも基本的な知識がないままパソコンを扱っている場合もあります。
パソコン操作が初めての人の中には、
「基本操作からきちんと覚えよう」と参考書を見たり、知っている人に教えてもらったりして、
色々な操作や知識を覚える人もいますが、そうでない人が沢山います。
また、社会的にパソコンのウイルス感染の危険性が言われていても、
言葉として知っている程度で、その対策についてはあまり周知されているとは言えないようです。
ウイルス感染、という言葉をきくと「被害者」になる立場で受け取られがちですが、
パソコンやインターネットの世界では「自分が加害者」になる可能性があります。
だからこそ、難しいことはさておいて、基本的な最低限の決まりごとは分かっている必要があります。
パソコンがウイルス感染をすると、その後の対処が大変です。時間もお金もかかります。
普段からのちょっとした気遣いで感染の機会を減らすことができます。
知り合いがウイルス対策を知らなかった、というのはショックでしたが、
他にも「知っていて当然」のことを知らない可能性があります。
そしてまた、私の知り合いには似たような人が沢山います。
次は何を解説することになるのか、ビクビクものです。