伊香保 22.12.23-24

 

22.12.23(木)

7:40に自宅を出発。

バスに乗る時奥さんはスイカでピッ。私は回数券をとる。

7:42のバスで最寄駅へ。

 

祝日なのに乗客は多い。早い電車が来たので乗って千葉駅へ。

千葉駅で立ち食いそばを食べ、快速で東京駅。

山手線で上野に到着。上野駅は何年か振り。

15番線 急行草津 ホームの端に啄木の詩がある。

「故郷の 訛りなつかし 停車場の 人込みの中に そを聴きに行く」

東北の玄関口っていう雰囲気。

 

10:05電車出発。

上野から1時間30分。東京から埼玉を抜けて群馬県渋川駅到着。

 

駅を出ると10数人がぞろぞろとバス停に歩いていく。

バス停Bで伊香保行きのバスに乗車。年寄りの男女もいるけど、若い男女もいる。

約30分で伊香保到着。

 

道路のあちこちに雪が残っている。朝降ったらしい。

バス停(地図内1)からすぐの所に泊まる旅館、古久屋(こくや)(2)がある。

まず荷物を置いて、昼ご飯を食べに行く。

 

地図を見ると、有名な石段街はすぐそば。

伊香保神社(9)の参道が石段で、その両脇に温泉旅館と店が並んでる。

石段の途中から下に下りて行って、カレーのある喫茶店「てんてまり」(3)に入る。

 

食べ終わってから市内散策の集合場所、バス停のそばの建物(4)へ。

 

ボランティアが案内してくれる市内散策。伊香保の町を歩きながら色々説明してくれる。

JTBに旅行を申し込んだ時に一緒に申し込むことができて無料。

14:00出発。

私達の他に2組の男女が参加。ガイドは黄色い上着を着た年配のおじさん。

 

最初に御用邸跡。(5)

昭和天皇が小学生の頃に作られた建物でその後焼失。

焼けて建物がなくなってそのままになっていたけど、

何年か後に天皇が訪れた時「玄関の靴脱ぎの石がそのままある」と懐かしがったので、

これは大変だ、とその石を保存するために東屋を立てた。

敷地は現在群馬大学の温泉研究所の建物が建っている。

ガイド:あそこの駐車場は昔は小学校があって、当時の子供たちの遊びは相撲。

それを小学生の天皇が見ていて自分もやりたいと言って参加。

迎える小学生たちは天皇に怪我をさせたら大変だということで皆手加減をした。

相撲を取ると皆が負けるので天皇は喜び、お付の人が小学生達にお礼にチョコレートを配った。

当時チョコレートは貴重品。もらった子供達は喜んで余計に負ける。

天皇が相撲を好きなのは多分こうした体験があるんじゃないかと思われる。

 

横手館(6)。

アニメ「千と千尋の神隠し」の温泉の建物のモデルになった旅館。

築100何年の木造の建物は今も現役。

石段を横切って裏道に。

饅頭屋があって、ここが温泉饅頭の元祖の店。

銀座の風月堂で修行した店主が店を開いて、茶色い温泉饅頭を作って売り出したという。

 

饅頭屋の奥にある薬師堂(7)

その左前にある石碑。

「北辰」というのは、千葉周作の北辰一刀流の北辰。

江戸時代、周作が剣の修行で伊香保に来たことがあり、とても強くて門下生が沢山できた。

それを記念しての石碑らしい。

 

山道を歩いてどんどん奥へ行くと、途中に元祖饅頭屋の元の建物がある。

今は建物だけで店は温泉街に移動しているという。

 

山道を更にどんどん奥へ行くと、伊香保の温泉の源泉(8)がある。

鉄分を含んでいるので空気に触れると赤茶色になる。黄金の湯、というのはこの色のこと。

 

伊香保の温泉そのものは1400年前の記録にある。

戦国時代、武田信玄の家臣が戦いで敗れた兵士を治療するために町を作った。

当時の土地の有力者に声をかけ、12人が協力したのでそれぞれに温泉を引く権利を与えた。

伊香保神社から下る石段は、その下をお湯が通っていて12軒の旅館に十二支の絵をつけ、

今もそれぞれの屋敷跡にプレートが残っている。

本来の温泉は赤茶色の湯。その後できた旅館は温泉を引くためにお金を出して権利を得た。

最初の12軒の内、今も営業しているのは4軒。

現在30数軒の旅館がある内で元々の温泉を使用しているのは数軒。他は違う温泉を使っている。

赤茶色の湯なので手ぬぐいが茶色く染まる。温泉旅館の一軒が白い手ぬぐいを無料で配り、

客が使った手ぬぐいを持ち帰ってそれが宣伝となった。

 

山道を戻って伊香保神社(9)。

昔火災で焼失して本殿はなく、今あるのは借りの社。

 

神社から参道の石段。

 

途中に有名な与謝野晶子の文が彫られた所がある。(10)

現在の石段は昔のものではない。

元々の石段は古くなって滑って危なくなって最近作り変えられたもの。

 

伊香保というと、この石段の温泉街の構図が有名。

 

石段を降りて左に曲がった先に旧ハワイ公使別邸がある。(11)

建物は明治時代に建てられた当時のもので中に入って見学できる。

 

15:40散策終了。2時間近く結構な距離を歩いて回る。

 

榛名湖のイルミネーションに参加するために集合場所のバス停へ。

16:00観光バス2台で出発。

 

イルミネーション

旅行に出かける前、奥さんは榛名湖のイルミネーションを見たいというけど、ネットで調べると

榛名湖まで公共のバスは15時頃出て帰りがない。

タクシーだと何千円もかかる。当然帰りまで待っていてもらうことになる。

電話で旅館にきいてみれば、というのに奥さんはそのままにしておいた。

 

古久屋旅館に戻って「イルミネーションを見たいけど」ときくと、

伊香保温泉も協賛していて、旅館の宿泊客はバスで送り迎えしてくれる。

事前に予約が必要だったらしくて、

「もううちの旅館の席はないが、他の旅館の分で空きがあるかをきいてみる」

といってくれて丁度空きがあって参加できることになる。

 

16:00過ぎに大型の観光バス2台が出発。

雪の残る山道のカーブをゆっくり登っていって無事到着。

外に出ると寒い寒い。

道路は凍結。ツルツル滑る。榛名湖のそばの会場にやっと着いて

17:00点灯。

45万球のLEDがチカチカ輝く。湖面にも飾ってある。

 

寒くて1時間もいられない。一通り眺めたらバスに戻って、17:40パス出発。

湖の駐車場から一般道に出ると、乗用車がずっとつながってる。

自家用車の駐車場は少なくて、空かないと入れないから皆が並んでる。

反対側の道路の渋滞をバスの高い座席から眺めながら過ぎる。

 

帰りのバスは伊香保温泉の下の駐車場まで。そこには各旅館の車が迎えに来てくれる。

18:30旅館に到着。501号室。5階の端っこの部屋。

 

6階の大浴場に入って温まり、19:00夕食。3階のレストランへ。

ぼけてるけど、すき焼き鍋とこんにゃくその他色々。

食べたら腹いっぱい。

 

食べ終わって部屋で新聞を眺める。眠くなったら寝ようと思ったらすぐには眠れない。

21:00貸し切り露天風呂へ。

温度はぬるいけどじっくり温まる。

 

部屋に戻って布団に入る。

普段は寝る前に小説や雑誌を見ながら眠くなって寝る、という習慣だけど

今回は小説を持ってくるのを忘れた。

部屋に何かないか、と探して見ると聖書が置いてある。

新約聖書。ちゃんと読んだことがない。

読み始めると、誰と誰から誰が生まれ、と始まってその内やっとキリストが誕生。

国王が預言者を使ってキリストを探させてどうなって、という話の途中で眠くなって目を閉じる。

 

夜中に暑くて何回も目が覚めて寝返りゴロゴロ。

床暖房がきいていて喉が渇く。

 

12.24(金)

しっかり目が覚めたら7:30.窓の外は小雪が降っている。

8:00に朝食。3階のレストランへ。

食べたら腹いっぱい。

 

今日はロープーウエイで山を登っての散策コース。

旅館(21)を出て、

10:00にバス停の近くの建物(22)に集合。

昨日とは違うおじさんがガイド。

参加者は他に2組の男女。

ロープーウエイで見晴台(23)へ。

遠くに見えるのが伊香保の町。

 

時々雪が降る中を展望台(24)へ。

 

この二つの山が造山運動でできてその麓に温泉の源泉がある。

 

伊香保リンク場(25)

 

ここから山道を降りて降りて、まだ降りてやっと伊香保神社(26)に到着。

もう膝がガクガク。

 

昼ご飯は途中で見た豆腐料理店。

ご飯が少なかったけどまあまあ一杯になって、コーヒーを飲みに石段街へ。

途中で見つけた「すみよし」に入る。

店内は禁煙じゃなくて灰皿を出してくれる。

みやげ物も売っているのであれこれ眺める。

 

これから竹久夢二記念館へ行きたい、と道を教えてもらうと15分位だという。

距離にしたらそうでもないみたいだけど、坂道の町。

喫茶店から旅館のそばを通り、下り坂を歩いて歩いてやっと到着。

 

竹久夢二記念館。

自筆の絵や文を実際に見るのは初めて。

高校生の時、学校の図書室で詩集を見た。

 

人を待つのはつらいもの 待たせてあるはなおつらし 

されど待たれも待ちもせず 一人ある身をなんとしょう

 

うまい文句だと思った。

夢二は明治17年に岡山県に生まれ、美術を学んで絵画や挿絵で生活。

伊香保温泉を気に入って大正8年から何度か訪れ、榛名湖にアトリエを作った。

私生活では彼女が何人かいて色男だったらしい。

 

全部を回って隣のオルゴール館へ。

 

ここは昔のオルゴールを聞かせてくれる。

河口湖のオルゴール館とは規模が違うけど、クリスマスの音楽や、

電蓄で昔のレコードを聞かせてくれる。

みやげ物も見てまた石段街へ。

 

下ってきた坂道を登る。これが長い長い。

職場のお土産に温泉饅頭を買うには元祖饅頭屋。

途中で何回か休憩してやっと石段街に戻り、

石段を登って神社の手前にある饅頭屋に到着。

饅頭を買おうとすると、賞味期限が2日だという。

3日位は大丈夫だが、2日のハンコを押す。

これじゃ職場に持って行けない。仕方がないから奥さんの兄貴の家の分だけ買う。

 

それからホテルに戻って荷物を受け取り、15:25のバスに乗車。

 

16:00頃に渋川駅到着。日が落ちると寒い寒い。千葉の寒さとは大違い。

電車の時間が近くなるまで駅の待合室の中ですごす。とても外には立っていられない。

時間が来てホームに出てもやっぱり寒くて耐えられない。ホームの待合室に入る。

やっと特急草津が到着。

16:29出発。

夕飯は車内販売の高崎だるま弁当。

 

19:00上野着。

山手線で東京駅。総武線快速で千葉。ホームの風は12月だから寒いけど伊香保とは全然違う。

 

21:00自宅着。

風呂に入って足を揉んですっきり。

 

 

あとがき

今回の旅行はJTBで電車の切符と旅館の予約をしたので、

そのパンフレットに伊香保散策ガイドのことが書いてあったので申し込んでみた。

昔から地元に住んでいて、今はもう現役を引退した人で伊香保のことが好きで、

観光客に伊香保の魅力を知ってもらうために活動している人たち。

自分達だけで地図を見ながら見て回ったのでは分からない、

地元の人だから知っていることなどを教えてもらって時間があっという間に過ぎる。

こうしたサービスもあるんだ、と感心。

 

榛名湖のイルミネーションに行く時のバスに添乗していたのは

この散策ガイドに加盟している人と、伊香保の他の旅館の若旦那。

まだ若い人だけど伊香保温泉組合青年部とか言っていた。

イルミネーションの飾りつけの一部を自分達もやっていて、

期間中毎日大型の観光バスで送迎している。

雪が降ればバスは徐行し、道路は事故が起きやすい。

湖から温泉街へ戻って来る時、バスは温泉街の下の駐車場まで。

そこから先は各温泉旅館の車が迎えに来てくれる。

その到着時間を気にしたり、迎えの車が入ってくる度に、

バスの外に出ていて「○○旅館のお客さんいませんか〜」

と声をかけてお客を誘導するのもガイドや若旦那。

バスは2台だから迎えの車は何台も出入りする。

イルミネーションのために何百万というお金をかけているんだと思われる。

 

渋川からのバスの乗客やイルミネーションの送迎バスの乗客に若いカップルが多く、

温泉街なのになんでだろう、と不思議だったけど、

そうした宣伝効果の結果なんだと思う。

 

自分達で地元の温泉街を活気付けようと色々活動している人たち。

地元に生まれて育って、家業を継いだり地元に就職して地元で生活をして、

地元のために活動する人たちを見ると「偉いね〜」と思ってしまう。

 

久しぶりの温泉旅行。

地元のガイドの案内や、イベント活動する人たちのお陰でいい旅行ができました。