チャットの問題発言者対策
はじめに
チャットには色々な人が参加しています。
楽しい場面もあればそうでない場面もあります。
意図的に会話を混乱させる荒し行為とまではいかなくても、
対応に苦慮する場合があります。
こちらの用意がないままに突然話が展開されるので、どう対処したら良いかと迷います。
そうした場合の対策として何かないか、と思ってまとめてみました。
問題発言者とは
「チャット部屋に参加して、突然、或いはじわじわと、
自分の抱える個人的な悩みや愚痴、不満などの問題を話し出し、
結果的に部屋の雰囲気を壊して話題を乗っ取る人」をいう。
チャット部屋を離れての個人的なpmでも、
対応に苦慮する話題が続く場合は同様です。
チャット部屋での場合
チャットの世界には、
現実世界と同様に色々なキャラクターを持つ人が参加しています。
常識的な人と非常識な人が混在する中で、
時として問題発言者に出会うことがあります。
問題発言の内容は、
悩み事、揉め事、相談事、生き方など、個人的な問題を訴えたり、
参加者同士の揉め事であったり、様々なものがあります。
例えば、
初めての参加者が突然ボイスを始めたかと思うと、
「結婚する約束をしていた彼氏と3日間も連絡がとれなくなり、
もう生きる気力がなくなった。死にたい。これから京都へ行く」
と言い出し、泣きながら自分はどうしたらいいか分からない、と訴え続ける。
部屋の参加者は、何とか慰めようと動かざるを得なくなり、
その結果、楽しい雰囲気が一変し、
後から参加してきた人には何の話だか分からなくなる。
本人は話題をリードして注目を集め、
カモになりそうな異性を見つけて友達登録をする場合もあります。
この他に、
酔っ払って訳のわからないことを言いつづける、
誰々にこんなひどいことをされた、と他者を攻撃する、
など、とにかく参加者を動揺させるパターンを持つ場合を「問題発言者」といいます。
中には病気の人もいます。
一般的な会話の中でも、悩み事や相談事は話題になりますが、
それは親しい間での会話であって、その話題で参加者が動揺したり、
不快な思いはしません。この場合は問題発言とはいいません。
チャット部屋の話題を独占する意図を持っていたり、
参加者や周りの知り合いを動揺させる発言をする場合を、問題発言といいます。
身体的な病気
例えば、「自分は癌で後ヶ月と医者から言われている」
と言って悲観を口にする場合、どう対処して良いかわからなくなります。
その話題を知り合うきっかけにする人もいます。
精神的な病気
そううつ病、パニック障害、子供の虐待・・・。
精神病や神経症など様々なケースがあります。
「今、手首を切ったところ。血が溢れてきてる」
「さっき睡眠薬を一杯飲んだからボーっとしてる」など、
自分の異常さや気持ちの落ち込み、感情の不安定さを訴える。
「子供の顔を見たら叩きたくなる」など、訴えの内容は様々です。
また、突然攻撃的になって怒り出すケースもあります。
pmでの場合
チャット部屋で知り合って、その後も発言内容やパターンが同じような人がいます。
辛さや不満を訴えるだけでなく、こちらの行動を促す場合もあります。
「誰々さんはこんなひどいことを言っている。どう思う?そうでしょ、ひどいと思うでしょ?」
チャットの捉え方
チャットの目的
人それぞれに目的を持ってチャットに参加しています。
ある人は気分転換、ある人は時間つぶし。
そんな中で、出会いカテゴリだから、異性と出会う場所だ、と思っている人もいます。
知り合って親しくなったら実際に会おうとする、
とんでもない誤解をしている人はめずらしくありません。
また、楽しい時間をみんなで過ごすことを期待する人が殆どですが、
中には、周りを困らせて自分は楽しむという人もいます。
参加者それぞれに期待しているものが違うということを最初に認識するべきです。
自分の目的が明るく楽しいチャットであるなら、暗く重たい話題は避けるべきです。
話にある程度付き合ったら、それ以上はチャットの専門カテゴリや、
現実世界の専門家にバトンタッチすることも必要です。
それは人間的な冷たさではなくて、チャットに求めているものの違いです。
チャット参加は自由
チャットに参加するかしないかは自由です。
知り合いになったからといって、ノルマや義務はありません。
負担になったら退くべきです。
また、ここまでは付き合えるけれど、
この先はシャットアウトというラインをはっきりさせておくべきです。
チャットの画面だけのやりとりで満足、
それ以上の関わりやつながりは求めない、という場合は、
はっきり相手に意思表示をするべきです。
あいまいなままでずるずると誘導されると、個人的なつながりを断ち切れなくなったり、
個人的な情報を伝えることにもつながります。
関わり方のスタイルをはっきりしておく必要があります。
また、親しくなって個人的な情報をやり取りする場合には、慎重に。
相手は今までまったく知らなかった人だ、ということを認識するべきです。
一般的な原則としては、
チャットのハンドルネーム(HN)の友達登録をした場合、
問題のある相手に対して、こちらのログイン状態の表示を隠せます(最新のMJ)。
登録削除をして、拒否リストに入れてシャットアウトすることができます。
携帯電話のメルアドは受信拒否設定ができます。ここまではOKです。
しかし、携帯の電話番号や自宅の電話番号、住所は簡単に変更できません。
問題が生じた場合に
相手からの関わりをシャットアウトできないような連絡方法を伝えるのは
できるだけ避けるべきです。
当然のことですが、
問題行動を持つ人からの連絡は、
極力メッセンジャー(MJ)のHNだけに留めるべきです。
オフカイ
チャットで親しくなった者同士で、オフカイに参加することがあるかも知れません。
複数で合う場合には他者の目があるので、
何か問題があっても誰かと問題を共有できます。
しかし、個人的に二人で会う場合、特に異性の場合は慎重になるべきです。
相手が男性の場合も女性の場合も同様です。
原則として、最初は複数で会うべきです。
問題行動をとる人と会う場合は、普通以上に慎重にするのは当然です。
匿名性
ハンドルネーム(HN)で呼び合い、以前からの知り合いのように、
すぐに打ち解けた会話に発展することができるのがチャットです。
匿名性は、発言内容に責任を負わなくて良いことに通じるので、
人間関係の上で何か問題が生じた時には、
HNを変えて別人になり変わることができます。
普通は、現実世界と同じように、常識をわきまえてやりとりをするものだし、
周りの人もそうだと思い込みますが、実際には非常識な人が沢山いて、
人の迷惑を顧みないとか、人に不快感を与えることが
自分の快感になっている人もいます。
事実かどうかの信憑性
匿名性の延長線上にあるのが、自己申告が前提の世界だ、ということです。
個人のプロフィールの内容を話したとしても、それが事実だという裏付けはありません。
「その人がそう言うからそうなんでしょう」というあやふやなものです。
問題発言の内容も同様です。
全てが嘘ではないけれど、全てが本当ではない。
悩みを聞いて欲しい、と言う場合、「現実世界で誰にも話せずに、チャットに入って、
やっと聞いてもらえる相手にめぐり合えた、ただ聞いてくれるだけでいい」
という場合があるかもしれません。
或いは、台本を用意したり、自分の人物設定をメモしておいて、
こんなに追い詰められて、辛いんだ、という状況を演じている場合もあるかもしれません。
チャット部屋の参加者は、本人の自己申告を認めて反応をする訳です。
慰めたり認めてあげないと周りから冷たいと思われるんじゃないか、
という気持ちが先に立って、相手にリードを許します。
話の内容が事実か事実ではないか、という判断は必要ですが、
「本当かどうか分からないけれど、本人が辛さを訴えている」
という事実そのものを問題にするべきです。
チャット部屋の場合は、その問題をここで話していて良いものかどうか、です。
チャット部屋の雰囲気
一般的に、楽しい時間や息抜きの時間としてのチャットを期待します。
暗く重たい話題は普通は期待しません。
チャットカテゴリの中には、そうした重たい話題を扱うユーザー部屋もあります。
生きる上での悩み事相談や、自傷行為の話題などは、
健康と医学のカテゴリのユーザー部屋で聞いてもらうべきです。
楽しい時間を期待して、後から入ってくる人は、「死にたい」といっている人と、
それをなだめている参加者の会話を聞いて楽しめません。
また、個人的な批難やののしりあいは、当事者だけでpmや別の部屋でやるべきです。
公開されているチャット部屋でそうした話題を続けることは、
後から来た人の迷惑になります。
yahooが用意しているメインの部屋の雰囲気
部屋のテーマはなく、部屋主はいないので、どんな内容の話になっても構いません。
問題発言や暗い話題がエスカレートしておもしろくなければ自分が退室すれば解決です。
ユーザー部屋の雰囲気
メインでは退室ですが、しかし、ユーザー部屋ではそう簡単には行きません。
部屋主が期待するものがあって部屋が存在します。
部屋の話題にそぐわない場合は、話題を変える必要があります。
例えば「死にたい」という発言者の話をそのまま続けても構わない、
と他の参加者が言っても、どこかで区切りをつけるべきです。
その話を続けた結果、部屋の雰囲気が重くなり、
あとから入ってくる人にはついていけない話題になり、
どういう結論が期待できるのかが不明なままに、
貴重な時間が過ぎて行くことになります。
その話の内容がその場にどういう影響を与えているか、を考える必要があります。
問題発言者への対処
チャット部屋の場合
メインの部屋の対処
その場の参加者が知り合いの場合もそうでない場合もありますが、
問題発言者の話をある程度聞いた後で、自分の選択になります。
自分が関心を持ち続けるならば、その人と個人的なpmに移行します。
誰かが問題発言者とのpmを希望するなら任せます。
メインに居座って問題発言を続ける場合、
そのまま付き合うか、自分が退室するかのどちらかになります。
精神的な健康を保つためには、難しい話題や重たい話題はできるだけ避けるべきです。
また、メインで議論を始めることもありますが、
「誤解をする人はどう言っても誤解したまま」「議論は不毛で結論が出ない」
と思って、相手の考えや気持ちの変化を期待しない方が無難です。
楽しい話題の時に参加して、そうでなければ参加しない、という態度が必要です。
ユーザー部屋の場合の対処
ある程度話を聞いて、どこかで区切りをつける必要があります。
メインの部屋と違うのは、
この部屋は部屋主の意向が尊重されるべき場所だ、ということです。
部屋主が話題の変更を言い出せない場合、知り合いの参加者の誰かが
「その話題はこの辺で、後から入ってくる人は楽しい時間を期待して来るから」と
重たい話題に区切りをつけて、後は個人的なpmに移行した方が無難です。
誰がpmを担当するかは、あらかじめ打ち合わせをしておいて、
その人なら話を聞いてくれるから、と他の参加者が推薦するのもいいでしょう。
それでもメインでの会話を希望する場合は、
それなら健康と医学のカテゴリにそうした話題をテーマにした部屋があるから
そちらでどうぞ、と勧め、それでも納得しなければ、部屋は解散します。
メインでの発言にこだわる場合は、話題の独占、あらし行為ということになります。
対応する上でのポイント
チャット部屋で知り合ってpmをして、悩み事や相談をきく場合や、
チャット部屋での揉め事に関して、注意すべき点をいくつか挙げます。
選択は本人の責任
話をきいて辛さはわかった。それでこの先どうするか、という場合、
選択肢の提供はこちらからできますが、どれを選ぶのかは本人の自己責任です。
選択できない場合もその人の責任です。
同じ話やパターンを繰り返して、辛さを訴える場合は、
話を聞いてもらえることをだけを期待している、と思ったほうが無難です。
相手と話をしていて、何とかならないか、と相手の状況の変化をこちらは期待しますが、
本人が変化を期待していない場合もある、ということです。それもその人の責任です。
限界の設定
「これから薬を飲む」「これから手首を切る」など、
こちらを釘付けにさせる内容を口にする場合、
ある程度話をしても了解してもらえなかったら、それがこちらとしての限界です。
責任はこちらにあるのではなく、本人にあります。
その後連絡がとれなくなって後味が悪い思いをしたとしても、
こちらには責任はありません。
たまたまチャットで知り合って、話を聞いただけです。
専門家ではないので、義務はありません。
対応は冷静に
病的な人は、周りにいる人を振り回すことで関わろう、という場合があります。
「死にたい」と言っている相手に「じゃ死んじゃえば」という発言は、
本人にしてみると「待ってました〜」となります。
あなたが言ったから手首を切ってこうなった、と責められます。
無責任な発言は避けるべきです。
操作
周りの知り合い同士の関係を危うくさせる場合があります。
Aさんがこちらに対して、
「Cさんが、あなたのことをこんな風に言っていた」と告げ口することがあります。
Cさんがこちらのことをどう言おうと、それはCさんの勝手です。
それをAさんがこちらに伝えるメリットはどこにあるのか。
事実はどうなのかを考えるべきです。
Cさんとこちらの関係は、第三者であるAさんが干渉するべきではない筈です。
このように、自分の周りの知り合い同士を操作して、動揺させる関わりをする場合は、
冷静に客観的視野に立って対応するべきです。
問題発言者に対応する人に求められる資質
pmで問題発言者の相手をして、悩み事などを聞く場合、
こちらの負担をできるだけ軽減し、効果的な関わりを持つための参考として、
ここではカウンセラーの例を紹介します。
以下は一般的なカウンセラーやカウンセリングに関する考え方をまとめたものです。
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カウンセラーに求められる資質
カウンセラーとして大切なことは、
理論や技法に通じることと同時に、人格を磨き上げることです。
カウンセラーとして必要とされる資質とは、次のようなものです。
健康なパーソナリティ
特に、普通の常識的な感覚を持っていること、
つまり、健康なパーソナリティを形成することは大変重要です。
理論や技法は習得できるものですが、余りにも人格に問題が多い場合は、
カウンセラーとしては失格であることを心に留めておく必要があります。
このような場合は、
スーパーバイザー(カウンセリングのスペシャリスト)からの
指導・助言を受ける必要があります。
それでも、自分に対する気付きに強い防衛があり、
自分自身を振り返ることができない場合には、
カウンセラーとしては不適当でしょう。
事実を素直に表現する力、自己を見つめる力、自己を変革する力、
常識に則った行動をとれる力、が備わっていない場合は、
カウンセラーの役割を担ってはいけません。
自分の利害を優先しない
カウンセリングを行うことにより、地位や愛情、財産などの利益を得ようとすることは、
カウンセラーとして失格です。
さらには、関心が対象者にではなく、
自分自身に向いていることも、自分の利害を優先することになります。
例えば、カウンセラーが、相談者の辛い体験を聞いていて辛くなり、
カウンセリングが終了した後、その辛さを一人では抱えきれず、
だれかれとなく吐き出してしまうとしたら、それは相談者の辛さではなく、
自分自身の辛さを優先していることになりますから、カウンセラーとしては失格なのです。
カウンセラーには、自分の感情や思考から一時分離し、
相談者のために存在する態度が望まれます。
チャット関連メモ 女性の相談者があれこれ話し続けて、親しみが増したとしても、 自分が頼りにされている、信頼されている、恋愛の対象にされている、 と思い込むのは誤解です。 ただ、都合の良い相手が見つかって、あれこれ吐き出してやれ、 と思っている場合が殆どです。 お互いの関係の始まりが唐突であったように、相手の都合でプツリと切られる。 そうした可能性をしっかり認識する必要があります。 また、友達登録以上のプライバシーに関する情報交換、 メルアドや携帯番号を教える、などは極力避けるべきです。 当然のことですが、実際に会うなどはもってのほかです。 netで知りあった女性に会うために、わざわざ飛行機で出かけ、 すっぽかされて空港に一泊、というケースや、 女性に会いにいったら、後に男がいて、 お金を巻き上げられた、というケースはごろごろしています。 あくまで「相手は問題を起こす人」ということを忘れないようにするべきです。 |
カウンセラーとしての役割を認識する
カウンセラーは、知り得た相談者の秘密を他者に表現できません。
そのために、ややもすると、孤立しやすく、相談者の悩みを抱え込んで、
カウンセラー自身が苦しくなったりします。
また、自己のカウンセリングに満足して、
他者からの指摘やスーパーバイズを受けないと、自己満足に浸り、
独善的になりやすいものです。
これは、相談者との間に癒着した関係を築いたり、
カウンセラーとしての向上に欠けるため、危険なことです。
このような状態に陥るというのは、
自分の役割を充分に認識していないことの証明でもあります。
効果的なカウンセリングを行うためには、
カウンセラーとなる自分自身が、心の健康を保持し続けること、
個人的な自分の内面と、役割としてのカウンセラーの自分を分離し、使い分けること、
必要時にスーパービジョンを受けることが肝要になります。
カウンセリングに影響する因子
カウンセラーの役割を担う人の人格面での教育・訓練の重要性は言わずもがなですが、
その他にも、カウンセリングの有効性に影響する因子がいくつかあります。
〇静かでプライバシーが守れる部屋(pm)
〇同僚(チャット部屋の場合は他の参加者や知り合い)の理解と支援
〇カウンセリングが気兼ねなくできることが保証されていること
〇相談者、或いはスーパーバイザーがいること
〇自分自身を振り返るためのスーパービジョンが受けられること
コミュニケーション技術
通常、コミュニケーションの技術を使いわけることは難しく、
コミュニケーションの方法は、ワンパターンになっていることが少なくありません。
あまり技術にとらわれることもありませんが、
効果的なコミュニケーション技術を繰り返して使う練習をし、
非効果的なコミュニケーションを避ける練習をしていくことで、
技術の上達を図ることができます。
表1 効果的なコミュニケーション技術
話題の導入 | 「今日はいい天気ですね」 |
観察したことを表現する | 「今日は明るい色の服を着ていますね」 |
明確化 | 「今、”仕事が大変”と言われましたけれど、例えばどういうことですか」 |
焦点化 | 「そこのところを、もう少し詳しく話してくれますか?」 |
効果的な沈黙 | |
会話を促進する | 「どうぞ続けてください」「そうですか、それからどうなったのでしょうか」 |
受け止める(うなずく) | 「そうでしょうね」「わかります」 |
励ます | 「大丈夫です」「任せてください」 |
担当者の自己提供 | 「私は、今、10分ほど時間がありますので」「私でよければ、うかがいます」 |
相手の感情表現を促す | 「今、どんなお気持ちですか?」 |
相手が考えていることを表現できるようにうながす | 「そのことについて、どう考えていらっしゃいますか?」 |
担当者が感情表現をする | 「私は、〇〇さんのお話をうかがってホッとしました」 |
担当者が自分の考えを表現する | 「私は、〇〇さんの考えをうかがって、〇〇さんはご自分のことをよくわかっていらっしゃるんだな、と思いました」 |
話を元に戻す | 「ところで、先ほど話していた旅行のことですが・・・・・」 |
時間の経過を追う | 「それはいつ頃ですか」「次にどうなったんですか」 |
要約 | 「〇〇さんが、今日一番話したかったことは、彼氏に自分の気持ちを伝えたい、ということだったんですね」 |
表2 効果的でないコミュニケーション
いきなりおびやかす話題から始まる | 「昨日のことですけど」 |
非難 | 「あなたはそう思うかもしれませんが、その考えは間違っています」 |
担当者が話しすぎる | |
担当者が話さなすぎる | |
意味のない沈黙 | |
効果のない慰め | 「大丈夫、大丈夫、なんともない」 |
しつこい質問 | 「今、一番心配なことはなんですか。話してみませんか。自分のことを分かってもらえると楽になるでしょう。あなたも話したいと思っているんでしょう。さあ、思い切って話してごらんなさい」 |
突然結論に飛ぶ | |
意味なく話題を変える |
表1では、効果的なコミュニケーション技術について取りあげました。この中で、つかっていないものがありましたら、使う練習をしてみてください。そうすると、いつもは困っていた場面に出会ったときでも、練習していた技術が自然とでてきて、会話の展開がよい方法に変化していくことがあります。
また、知らず知らずの間に効果的ではないコミュニケーションをしている場合があります。表2のような非効果的なコミュニケーションをしていないかどうかを確認し、今後も使わないように、心の留めておいてください。そうすれば、効果的でない言葉が思わず口を突いて出そうな時に、ブレーキがかかります。
このような技術を意識してしまうと、しばらくはぎこちなくなる怖れもあります。それでも、訓練を続けていくうちに、コミュニケーションを図る上で効果的な態度が、自然と身についてきます。技術とは、そうやって磨いていくものなのです。
カウンセリングの基本技法
共感
基盤になる技法が共感です。
ガズダらの定義:「共感とは援助者が援助を受ける人の感情に”入り込”もうとする試みである」
アスビーの定義:「共感とは(他者を)理解する能力であり、他者の感情とその感情がおこる理由を理解していることを他者に伝える能力である」
C.ロジャーズの定義:「他者の私的世界を、あたかも自分自身の世界のように感じ取る。しかし、「あたかも」という性格をうしなうことはない。これが共感である」
同情との違い
共感は、必ずしも相手の味方になることではありません。この点で、同情と異なります。ガズダらは、「同情とは、援助する人が援助を受ける人と同じ感情を経験することである・・・援助を受ける人が援助に対して嬉しく思う必要がないことは、幸運なことである。他者がどのような感情を持っているかが理解できれば、援助を行うことができる。それが共感の意味するものである」として、同情と共感を区別しています。
共感は2つの主体の響き合い
人は、相手に何をわかってほしいのかというと、自分の気持ちを分かって欲しいのです。共感は、相手を理解する心の動きであり、次のようなプロセスをたどると考えられます。
1)一度、相手と同じ気持ちになる
2)そしてまた、自分の位置に立ち戻る
3)”あなたの気持ちはこのように私に伝わった”ということを相手に伝える
4)相手は共感者(カウンセラー)の反応を通して、自分自身の気持ちを理解する。
共感は、相手と一致する体験です。M.ブーバーが述べる”我ー汝”関係に表わされる、2人の主体と彼らの関係です。
共感は、相互主体的な関係のプロセスとしての人間的な出会いであり、誠実な対話です。一方的に相手を共感するような一方通行はありえません。
受容
受容とは
共感と共に、もうひとつの基盤は受容です。
受容とは、相手の言動、価値観を無条件に受け止めることです。
通常、”受容”というときは、受け止めた場合だけを指し、受け止められない場合は”受容できない”と言います。
しかし、カウンセリング技法で言う、受容は、あるがままの相手を受け入れるものですから、”受け止める時””受け止めない時”という区別は生じません。
一般的に、受け止めた時(受容できたとき)というのは、良い相手とであった時です。自分が期待する通りの態度、行動、言葉、考えの場合は受け入れることができます。一方、受け止められないとき(受容できないとき)というのは、良くない他者に出会ったときです。他者がこちらの期待通りの行動をしない。考えが違う。望ましい言葉を言わない場合は、相手を受け入れることができなくなります。
通常、良い他者を受け入れることはできるのですが、良くない他者は受け入れにくいものです。受容とは、良い面も良くない面もひっくるめて、一人の人として受け入れることです。一般的には、良い面を持っている人は良い人(すべてが良い人)で、良くない面を持っている人は良くない人(すべてが悪い人)と感じてしまいやすいものです。しかし、受容的態度はそうではありません。人には必ず良い面と良くない面がある、と認識する必要があります。
他者を受容するには、まず自己受容から
他者を受容するためには、自分自身を受容する必要があります(自己受容)。すなわち、自分の中の良い面(good me)を認め、良くない面(bad me)も認め、自分には良い面と良くない面があるのだということを認め、受け入れることです。
一般的に、自分の良い面を認めることはたやすいのですが、自分の良くない面を認めるのは困難なものです。自己受容をするためには、良い面と良くない面をもった統合体としての自己を認め、受け入れる必要があります。カウンセラーの訓練に自己理解が必要なのは、このためでもあるのです。
自己受容できない人こそ、他者による受容を
カウンセリングの対象者の中には、自分の良い面を認めることすら困難な人がいます。自分を否定する自己像(not me)を形成していることがあるのです。そのような対象者には、特にカウンセラーによる他者受容が、治療的な意味を持つのです。
カウンセラーから、自分の良い面を言葉で表現してもらうことで、悪いことばかり考えていたり(否定主義)、自分に価値を見出せない(自己価値観の低下)、そのような自分に気付くことがあります。その自覚(気付き)を基点に、自分自身を受け入れる道が開かれていくものです。
傾聴
傾聴とは
カウンセリングで大切なことは、聴く力です。
カウンセリングでは、時に問いかけ、情報提供や提案、説明を行うということもありますが、殆どの時間は対象者の話を聞くことに費やされます。
相手に視線を向け(アイコンタクト)、身体を向け、少し前かがみになり、カウンセラーと対象者の間に受容的な空間ができる姿勢になること。手を伸ばせば相手に触れること(タッチング)が可能な距離を保つことが効果的です。対象者の話にうなずき、「そうだったんですね」などと相槌を打つといった、対象者の会話を促進する技術や、受け止める技術を用いながら、対象者の話を聴きます。
その際に重要なのは、価値判断しないこと(ノンジャッジメンタル)です。カウンセラーの価値観で話を聴くのではなく、対象者の価値観で話を聴くことが大切なのです。対象者が感じたり、考えたりしていることは、良いとか悪いという問題ではない、ということを心に留めておく必要があります。
信頼関係の確立
カウンセリングを行うにあたって、信頼関係を確立する技術が大切になります。
信頼関係の基本は、対象者との関係形成に対する自分の信念、あるいは理論を持つことです。相談者-カウンセラー関係、治療的関係、人間対人間の関係などをどう形成しようとするか、を明確にしておきます。そして、その考えに基づいて対象者との関係を発展させて行きます。
対象者からすれば、相談相手であるカウンセラーを信頼できるかどうかは、カウンセリングを行うカウンセラーの専門的知識と技術、そして人格にかかっています。つまり、信頼できる人柄、信頼できる話し方、信頼できる判断(診断)能力をカウンセラーが持っているかが重要なのです。具体的には、やさしい話し方、自分に関心を向けていてくれること、身なりの清潔感、約束を守ってくれる、安心して話せる、秘密を保持してくれる、問題解決に向かってくれる、気持ちをわかってくれることなどが、対象者の信頼感情を徐々につくりだしていくものです。
カウンセラーは、これらの対象者の期待に沿えるように自己研鑽をする必要があります。
エンパワーメント
カウンセリングは、ちょうど、もつれた糸の中に埋もれている対象者を解き放っていくようなものであり、対象者がすっきりとした感覚を味わえる必要があります。例えば、目標が見つかる、生きがいが見つかる、やってみようと思える、次に期待することができるようになる、良い時間だったという充実感がある、というように、今の時間の価値を感じられたり、あるいは将来に対する期待や希望がみいだせたりすることによって、対象者は力づけられるのです。このように、対象者がカウンセリングを受けて、カウンセラーから力を与えられる感じ(エンパワーメント)によって、生きる目標を見出せる必要があります。
カウンセラーは、自分の生きているエネルギーを対象者に伝達します。そのためには、カウンセラー自らが、”今-ここ”にすべてのエネルギーをかけることです。今に集中する力と感情の交流を恐れない力、それらは確固たる自分への信頼感に基づくものです。そのためには、自我を自由に操れることと、カウンセリングの場で自己をコントロールできることが必要になります。
カウンセラーは、対象者のロールモデルになります。対象者は、カウンセラーの生き方を見て、感じて、憧れて、生きるエネルギーをもらっていくのです。
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本来は、カウンセリングの過程の中に、
関わりの評価や振り返りが含まれますが、ここでは省略します。
カウンセリングの知識と技術が必要だ、というのではなく、
こうした考え方を知っていると、方向性が見えてきて、問題解決に導きやすくなります。
ただの参考にしてください。
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問題発言者は響いてくれる人を待っている
問題発言者は、自分の期待する反応を示してくれる相手を求めます。
数いる参加者の中で、この人ならわかってくれそうだ、
という判断が問題発言者側にあります。
事が起こるといつも相手をさせられる、という人がいますが、
それはその人も、そういう話題を求めているからです。
負担は覚悟で
悩み事などの話を聞いて問題解決のために何かできないか、という場合、
こちらの精神的な負担は覚悟の上で行動することになります。
中途半端な対応は、相手にとっても、こちらにとっても良い結果は得られません。
自分が疲れている場合、気持ちに余裕がない場合は、
そうした場面は避けるべきです。
おわりに
最近、たまたま問題発言をする人に出会ったことがきっかけで
これをまとめることになりました。
チャットを利用する上では、自分の関わり方のスタイルを決めておく必要があります。
振り回されやすい人は公開部屋のチャットには向きません。
そういう人は非公開部屋やpmで、気のあった人とのやりとりだけに限定するべきです。
偶然や何かの縁で出会ってやりとりをするチャットです。
できるだけ楽しい時間を過ごしたい、と思います。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
何かの役に立てたら幸いです。
17.10.23