包茎 解説

 

多くの男性は包茎の悩みを抱きます。

包茎

子供の陰茎は下図のように先端部の亀頭は包皮に包まれています(1)。

この状態を包茎と言います。

包皮を陰茎の根本に向かって移動させ、めくって行くと(2)、

先端のAとBの部分は陰茎部に移動して、

下図のように亀頭全体が外に出ます(3)。

陰茎が普段の状態でも勃起した状態でも、

包皮をめくれば亀頭が出る状態を仮性包茎と言います。

包皮の先端を前からみるとドーナツ状になっていて、伸縮する余裕があれば

陰茎が勃起しても問題はありません。

 

仮性包茎は思春期を過ぎて陰毛が生えてくると、包皮が陰毛を巻き込みながら亀頭を包むので、

亀頭がチクチク刺激されます。包皮を剥いて亀頭を出した状態を維持できれば問題はありませんが、

包皮は亀頭を包もうとしますから、いつも亀頭を出した状態でいることは難しくなります。

この問題を解決するためのものが「仮性包茎矯正器具」です。これの詳細はこちらを参照。

 

仮性包茎に対して真性包茎は深刻です。

先端の包皮のドーナッツ部分が硬くなったままです。この状態で包皮をめくると、

ドーナッツは伸びないので亀頭部分を通過することができません(4)。

勃起していない普段の状態でも、

痛くて亀頭部分全体を出せない状態を真性包茎と言います。

陰茎が普段の状態でも亀頭を全部出せないので、

勃起した状態では余計にドーナッツ部分が亀頭部を通過することができません。

陰茎は血液が充満して長く伸び、太くなろうとしますが、

先端部で包皮が動かないので陰茎は痛みを感じます。

ドーナッツ部分が無理に亀頭の首の部分を通過すると、陰茎をしめつけます(5)。

この状態を「かんとん包茎」と言い、痛みは更に強くなります。

勃起時は陰茎全体に血液が充満しているので、亀頭部の血液は移動できなくなり、

包皮を元の状態に戻せなくなります。

 

真性包茎の治療

病院の泌尿器科が診療し、

伸縮性のないドーナッツ部分を切り取り、残った包皮をつなぐ手術が行なわれます。

 

昔の少年漫画雑誌の広告ページには、

包茎を直すためのパンツの通信販売がありました。

うずらの卵のカラを横に半分にしたような形のプラスチックが、

パンツの前面についていて、そこに陰茎を入れて包皮を少しずつめくっていく、

というものらしいです。

これは効果がなく、逆に感染症を起こす危険があるので、

もし今もこうしたものが販売されていたら間違っても使用してはいけません。

 

また、最近では美容整形で真性包茎や仮性包茎の治療が行なわれているようです。

真性包茎は医療の対象になりますから健康保険適用です。

一般の病気と同じように保険証が使えます。つまり普通の病院で治療してもらえます。

しかし、仮性包茎は性生活に支障がないので治療の対象にはなりません。

したがって、一般の病院では治療してくれません。

包茎は見た目が悪い、男性としての機能が劣るイメージがある、

という理由で美容整形で仮性包茎まで治療しようとするようですが、

保険適用になりませんから何万円もかかります。

性生活に支障がないものにお金を払うかどうかは個人の選択です。

 

包茎の原因

元々亀頭部は敏感なので包皮で保護されるようにできています。

世界各地では昔から割礼(かつれい)という儀式があります。

割礼は、子供の時に包皮の一部を切り取り、亀頭を露出させた状態にします。

ユダヤ教やイスラム教、アフリカの諸民族などでは、

宗教的な意味合いから割礼が行われています。

アメリカ・フィリピンなどでは、

衛生上の観点から割礼と同じことが行われていますが、

宗教習俗上の意味合いを持たないため、割礼と呼ぶべきではない、

という考え方があるようです。

 

日本でも、過去には端午の節句に菖蒲湯に入る習慣がありました。

この時、菖蒲の葉で子供の包皮を切ったそうですが、現在では行なわれていません。

 

昔は親と子供、その子供、と大家族で生活していました。

若い母親に子供が生まれると、子供にとっての祖母が、

入浴時に包皮をむいて亀頭部を洗って清潔にし、包茎を防ぐ方法を教えました。

時代が変わって、核家族の家庭が増えると、

包茎予防の知識と方法を若い夫婦に教える機会がなくなりました。

こうして、真性包茎になることが昔より多くなったのかもしれません。

 

また、民族によっては割礼は男子だけではなく、

女子の性器の一部を切り取る場合があり、

女性の人権団体からは人権侵害だ、と言われています。

 

包茎のマイナス面

真性包茎は陰茎の成長を妨げます。

また勃起ができないので、性行為を行なうことができません。

性行為ができない、ということは、子供を作れません。

人間には寿命があるので、ある集団で子供が生まれなければ、

その集団はいずれ消えることになります。

また、人口は集団の兵力に比例します。人が沢山いた方が戦いの時には有利です。

集団にとって子供の誕生は絶対に必要なことなので、

割礼という儀式を行なって、真性包茎を防ぐことになりました。

痛いから嫌だ、ということは許されず、決まり事として行なわれていました。

現在の日本では、儀式としての割礼は行なわれていません。

仮性包茎は性行為をする上で問題ありません。

 

真正包茎は、亀頭の先端から出た尿が、亀頭と包皮の間に溜まるので、

亀頭包皮炎(きとうほうひえん)という炎症を起こしやすくなります。

仮性包茎も入浴時等に綺麗に洗浄しないと炎症を起こしやすくなります。

 

真性包茎の予防

子供の頃から入浴時に包皮を少しずつめくって、指で亀頭部の汚れを洗い流すように

大人が教えます。包皮の先端部分を伸ばすことを習慣化させることで、

真性包茎を防ぎ、亀頭包皮炎を防ぎます。